動物取扱業者に係る飼養施設の構造及び動物の管理の方法等に関する基準



平成十二年六月三十日
内閣総理大臣 森  喜朗

総理府令第七十三号  動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第十一条第一項の規定に基づき、動物取扱業者に係る飼養施設 の構造及び動物の管理の方法等に関する基準を次のように定める。

(用語)
第一条  この府令で使用する用語は、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)で使用する用語の例による。


(飼養施設の構造)
第二条  法第十一条第一項の総理府令で定める飼養施設の構造に関する基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
 一  飼養する動物の種類及び習性等に応じた飼養場所を確保するため、次の要件を備えていること。
  イ  個々の動物が、自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたくなど日常的な動作を容易に行うための十分な広さと空 間を有すること。
  ロ  排せつ場、止まり木、水浴び場等の設備を備えていること。
  ハ  過度なストレスがかからないような温度、通風及び明るさが保たれる構造であり、又はそのような状態に保つための 設備を備えていること。
  ニ  屋外又は屋外に面した場所にあっては、日照及び風雨等を遮る設備を備えていること。
  ヒ  疾病にかかり若しくは負傷した動物又は妊娠中若しくは幼齢な動物を育成中の動物を、必要に応じ適切に隔離できる 設備を備えていること。
 二  良好な衛生状態を維持するため、次の要件を備えていること。
  イ  床、内壁、天井及び附属設備は、清掃が容易であるなど衛生状態の維持及び管理がしやすい構造であること。
  ロ  衛生的な水を十分供給できる給水設備を備えていること。
  ハ  洗浄及び消毒に必要な器具又は設備を備えていること。
  ニ  飼料等を衛生的な状態で保管するための設備を備えていること。
  ホ  汚物等を一時保管するためのふた付きの容器を備えていること。
 三  飼養する動物の逸走及び事故を防止するため、次の要件を備えていること。
  イ   飼養する動物の種類、習性、運動能力、数等に応じて動物の逸走を防止できる構造及び強度であること。
  ロ  床、内壁、天井及び附属設備は、突起物、穴、くぼみ及び斜面等で飼養する動物が傷害等を受けるおそれがないよう な構造であること。
 四  次に掲げる動物取扱業者に係る飼養施設にあっては、前各号に掲げるもののほか、それぞれ次に掲げる要件を備えてい ること。
  イ  保管業者及び訓練業者にあっては、飼養する動物間での感染症や闘争の発生を防止するため、顧客の動物を個々に収 容するための設備を備えていること。
  ロ  展示業者にあっては、飼養する動物の習性及び生理に応じて運動場、水浴び場、砂場、営巣場、休息場等の設備を備 えていること。

(動物の管理の方法等)
第三条  法第十一条第一項の総理府令で定める動物の管理の方法等に関する基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
 一  動物の種類、習性等に応じた飼養が行われるよう、次に掲げる方法により管理を行うこと。
  イ  飼養する動物の種類、数、発育状況及び健康状態に応じた給餌及び給水を行うこと。
  ロ  異種又は複数の動物を同一飼養施設内で飼養する場合には、飼養する動物の組合せを考慮し、過度な動物間の闘争の 発生を避けるようにすること。
  ハ  疾病にかかり若しくは負傷した動物又は妊娠中若しくは幼齢な動物を育成中の動物については、隔離するなど過度な ストレスがかからないようにすること。
  ニ  親子共に飼養するなど、幼齢な動物の健全な育成及び社会化に努めること。
 二  飼養する動物の衛生の確保並びに疾病及びけがの予防措置を講じるに当たっては、次に掲げる方法により管理を行うこ と。
  イ  新たな動物を飼養施設内に搬入するに当たっては、当該動物が健康であることを確認するまでの間他の動物と接触さ せないようにすること。
  ロ  飼養する動物の疾病及びけがの予防並びに寄生虫の防除等日常的な健康管理に努めるとともに、動物が疾病にかかり 又は負傷した場合には速やかに必要な処置を行うこと。
  ハ  必要に応じて獣医師による診療及びワクチン接種が行われるようにすること。
  ニ  飼養施設及び設備又は器具の清掃や消毒を定期的に行うとともに、飼養する動物の排せつ物その他の廃棄物を適正に 処理すること。
  ホ  ねずみ及びはえ、蚊等の害虫の侵入を防止するとともに、必要に応じて駆除すること。
  ヘ  動物の死体は速やかに適正に処理すること。
  ト  飼養する動物を輸送する場合には、衛生管理及び事故防止に必要な措置を講ずること。  三  飼養する動物の逸走及び事故を防止するため、次に掲げる方法により管理を行うこと。
  イ  飼養施設の日常的な管理及び保守点検を行うとともに、定期的に巡回を行い、飼養する動物の数及び状態を確認する こと。
  ロ  飼養する動物が逸走した場合の措置をあらかじめ定めておくこと。逸走した場合には、その速やかな捕獲等に努める こと。
  ハ  地震、火災等の緊急事態に際して採るべき措置をあらかじめ定めておくこと。緊急事態が発生した場合には、速やか に飼養する動物の安全確保に努めること。
 四  取り扱う動物の適正な飼養及び管理の方法並びに飼養する動物に起因する感染性の疾病に関する知識を習得するととも に、動物を飼養し又は管理する従業員等に対しそれらを習得させるための措置を講ずること。
 五  次に掲げる動物取扱業者にあっては、前各号に掲げるもののほか、それぞれ次に掲げる方法により飼養する動物の管理 等を行うこと。
  イ  販売業者にあっては、販売する動物の適正な飼養及び管理の方法並びに当該動物に起因する感染性の疾病に関する情 報を購入者に提供すること。
  ロ  販売業者にあっては、幼齢な動物については必要なワクチンの接種後に販売するように努めるとともに、その健康管 理並びに健全な育成及び社会化に関する情報を購入者に提供すること。また、ワクチン接種済みの動物を販売する場合 には、獣医師が発行した証明書類を添付すること。
  ハ  販売のために動物を繁殖させる販売業者にあっては、遺伝性疾患が生じるおそれのある動物を繁殖の用に供さないよ うに努めること。
  ニ  貸出し業者にあっては、貸出し先において飼養する動物の健康及び安全の確保がなされるよう、契約等の際において 当該動物の取扱い方法等についての情報を提供すること。
  ホ  保管業者及び訓練業者にあっては、飼養する動物を搬出する都度当該飼養施設の清掃及び消毒を行うこと。
  ヘ  展示業者にあっては、飼養する動物の健康を保持するため、観覧者が展示動物にみだりに食物を与えることができな いよう必要な措置を講ずること。展示動物に食物を与えることを観覧者に認める場合には、認められた食物以外の食物 が与えられることのないようにすること。
  ト  展示業者及び販売業者にあっては、観覧者又は顧客が飼養する動物に接触することを認める場合には、動物に過度な ストレスがかからないよう、当該動物への接触方法について指導するとともに、動物に適度な休息を与えること。

   附 則
この府令は、動物の保護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成十一年法律第二百二十一号)の施行の日(平成十 二年十二月一日)から施行する。


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