東京都動物の保護及び管理に関する条例


(昭和54年10月27日条例第81号)最新の改正
平成8年3月29日条例第53号

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、動物の保護及び管理に関し必要な事項を定めることにより、都民の動物愛護の精神の高揚を図るとともに、動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(都の責務)
第3条 都は、動物の保護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)及びこの条例の目的を達成するため、あらゆる機会を通じて、動物の適正な飼養に関する知識の普及、啓もうその他必要な施策を実施するよう努めるものとする。

(区市町村の協力)
第4条 知事は、法及びこの条例の目的を達成するため、特別区及び市町村に対し、必要な協力を求めることがで きる。

(都民の責務)
第5条 都民は、動物の愛護に努めるとともに、都が法及びこの条例の規定に基づいて行う施策に協力しなければ ならない。

(飼い主の責務)
第6条 飼い主は、動物の本能、習性等を理解するとともに、飼い主としての責任を十分に自覚して、動物を適正 に飼養するよう努めなければならない。

2 動物の所有者は、動物を終生飼養するよう努めなければならない。

第2章 動物の適正な飼養等

(動物飼養の基本事項)
第7条 飼い主は、その飼養する動物について、次の各号に掲げる事項を守り、動物を適正に飼養するよう努めな ければならない。

(ねこの飼養)
第8条 ねこの飼い主は、他人に迷惑をかけないように飼養するよう努めなければならない。

(犬の飼い主の遵守事項)
第9条 犬の飼い主は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。

一 犬を逸走させないため、犬をさく、おりその他の囲いの中で飼養し、又は人の生命若しくは身体に危害 を加えるおそれのない場所において、固定した物に綱若しくは鎖で確実につないで飼養すること。ただし、 次のイからニまでの一に該当する場合は、この限りでない。

二 犬をその種類、健康状態等に応じて、適正に運動させること。

三 犬を飼養している旨の標識を、施設等のある土地又は建物の出入口附近の外部から見やすい箇所に掲示しておくこと

(特定動物等の飼い主の遵守事項)
第10条 特定動物、人の生命若しくは身体に危害を加えたことのある犬又は人に伝染するおそれのある有害な病 原体に汚染されている動物(以下「特定動物」という。)の飼い主は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければな らない。

一 特定動物等の行動に注意を払うとともに、定期的に施設等を点検すること。

二 地震、火災等の非常災害時における特定動物等を逸走させないための対策を講じておくこと。

(動物取扱業の届出)
第11条 動物取扱業を営もうとする者は、あらかじめ、その業種、取り扱う動物の種類その他の規則で定める事 項を知事に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をした者は、その届け出た事項を変更したとき、又は動物取扱業を廃止(一月以上の休 止を含む。)したときは、その日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

第3章 特定動物の飼養

(特定動物の飼養許可)
第12条 特定動物を飼養しようとする者は、あらかじめ、その種類ごとに知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。

一 国又は地方公共団体が設置し、及び管理する施設内で飼養する場合

二 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学が設置し、及び管理する施設内で試験又は 研究のために飼養する場合

三 医療法(昭和23年法律第205号)第4条に規定する総合病院が設置し、及び管理する施設内で試験又は研究のために飼養する場合

四 獣医療法(平成4年法律第46号)第2条第2項に規定する診療施設内で診療のために飼養する場合

五 搬送のために都内を通過する場合

六 前各号に掲げる場合のほか、規則で定める場合

2 前項の許可を受けようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。

一 氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
二 飼養の目的
三 動物の種類及び数
四 施設の所在地及び設置場所
五 施設の規模及び構造
六 飼養に作業に従事する者に関する事項
七 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

3 前項の申請書には、施設の所在地附近の見取図、施設の構造及び規模を示す図面その他規則で定める書類を添付しなければならない。

4 知事は、第1項の許可をするに当たっては、特定動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止するために必要な限度において、1年を下らない有効期間その他の条件を付することができる。

(変更の許可及び届出)
第13条 前条第1項の許可を受けた者は、同条第2項三号、第四号又は第五号に掲げる事項を変更しようとするとき(第三号にあっては、数を増加しようとするときに限る。)は、あらかじめ、規則で定めるところにより、知事の許可を受けなければならない。

2 前条第4項の規定は、前項の許可について準用する。

3 前条第1項の許可を受けた者は、同条第2項第一号、第二号、第六号又は第七号に掲げる事項を変更したときは、その日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

4 前条第1項又は第1項の許可を受けた者(以下「特定動物を飼養する者」という。)は、特定動物の飼養をやめたときは、その日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

(許可の要件)
第14条 知事は、第12条第1項又は前条第1項の許可を受けようとする者が、次の各号に掲げる要件に適合していると認めるときでなければ、当該許可をしてはならない。

一 特定動物を適正に飼養するための施設で、規則で定める基準に適合するものを有すること。

二 次のイからニまでに掲げる次項のいずれにも該当しないこと。

三 自ら飼養の作業に従事しない場合は、前号イからニまでに掲げる次項のいずれにも該当しない者をして飼養の作業に従事させるものであること。

(特定動物の施設内飼養)
第15条 特定動物を飼養する者は、特定動物を当該許可に係る施設内で飼養し、その外へ出してはならない。ただし、次の各号の一に該当する場合で、人の生命、身体及び財産に対する侵害のおそれのない方法で取り扱うときは、この限りでない。

一 特定動物の取扱いに熟練した者の管理の下で、興行、展示、映画製作その他規則で定めるものに使用する場合

二 特定動物の取扱いに熟練した者の管理の下で、規則で定める基準に適合する施設により、搬送する場合

三 前二号に掲げる場合のほか、規則で定める場合

(標識)
第16条 特定動物を飼養する者は、特定動物を飼養している旨の標識を、施設のある土地又は建物の出入口附近の外部から見やすい箇所に掲示しておかなければならない。

(許可の取消し)
第17条 知事は、特定動物を飼養する者が、次の各号の一に該当する場合は、当該許可を取り消すことができる。

一 第12条第4項(第13条第2項において準用する場合を含む。)の規定により、許可に付した条件に違反した場合

二 第14条各号に掲げる許可の要件を満たさなくなった場合

三 第15条の規定に違反して、特定動物を施設の外へ出した場合

第4章 動物の引取り、収容等

(犬又はねこの引取り)
第18条 知事は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められた場合において、当該所有者が継続して飼養することができないことについて、やむを得ない理由があると認めるときは、これを引き取るものとする。

2 知事は、前項の規定により犬又はねこを引き取るときは、日時、場所その他これを引き取るために必要な指示をすることができる。

3 知事は、所有者の判明しないいぬ又はねこの引取りを、その拾得者から求められた場合において、当該犬又はねこを引き取ることがやむを得ないと認めるときは、これを引き取るものとする。

(犬の収容)
第19条 知事は、飼い主が第9条第1項の規定に違反したため、逸走している犬があるときは、その職員をしてこれを収容させることができる。

2 職員は、収容しようとしている犬がその飼い主又はその他の者の土地、建物、船舶又は車両内に入った場合において、これを収容するためやむを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において、その場所(人の住居を除く。)に立ち入ることがができる。

3 職員は、前項の規定により立ち入る場合は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(負傷した犬、ねこ等の収容等)
第20条 知事は、道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、又は負傷している犬、ねこ又は規則で定める動物(以下「犬、ねこ等」という。)を発見した者から通報があった場合において、その所有者が判明しないときは、これを収容するものとする。

2 知事は、前項の規定により犬、ねこ等を収容したときは、治療その他必要な措置を講ずるものとする。

(公示等)
第21条 知事は、所有者の判明しない犬、ねこ等を引き取り、又は収容したときは、当該動物の種類、収容等に日時、場所その他必要な事項を2日間公示するものとする。

2 知事は、第19条第1項の規定により収容した犬の所有者が判明しているときは、その所有者に対し、通知を受けた日から2日以内にこれを引き取るべき旨を通知するものとする。

3 知事は、所有者が第1項の公示期間満了の後2日以内に当該動物を引き取らないとき、及び所有者所有者が前項の通知到達後2日以内に当該当該犬を引き取らないときは、これを処分することができる。

(譲渡)
第22条 知事は、第18条第1項の規定により引き取った犬又はねこを、その飼養を希望する者で、適正に飼養できると認めるものに譲渡することができる。

2 前項の規定による譲渡を求める者は、あらかじめ、その旨を知事に申し出なければならない。

(野犬の駆除)
第23条 知事は、野犬(飼い主のいない犬をいう。以下同じ。)が人の生命、身体若しくは財産を侵害し、又は侵害するおそれのある場合で、通常の方法によっては収容することが著しく困難であると認められるときは、一定の区域及び期間を定め、薬物等を使用して、これを駆除することができる。

2 知事は、前項の規定により野犬を駆除しようとするときは、当該区域及びその附近の住民に対して、あらかじめ、その旨を周知させるものとする。

(人畜共通伝染病)
第24条 知事は、動物の飼養又は利用を通じて人に伝染するおそれがある人畜共通伝染病に対し、調査及び研究を行うとともに、その防疫措置について必要な対策を講ずるように努めるものとする。

第5章 緊急時の措置等

(緊急時の措置)
第25条 飼い主は、その飼養する特定動物等が逸走したときは、直ちに、知事及び警察官にその旨を通知するとともに、当該特定動物等を捕獲するなど、人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止するために必要な措置をとらなければならない。

2 知事は、前項の通報があった場合で、人の生命、身体又は財産に対する急迫の侵害のおそれがあると認めるときは、その職員をして、当該特定動物等を捕獲し、又は殺処分させることができる。

(事故発生時の措置)
第26条 飼い主は、その飼養する動物が人の生命又は身体に危害を加えたときは、適切な応急処置及び新たな事故の発生を防止する措置をとるとともに、その事故及びその後の措置について、事故発生の時から24時間以内に、知事に届け出なければならない。

2 犬の飼い主は、その犬が人をかんだときは、事故発生の時から48時間以内に、その犬を狂犬病の疑いの有無について獣医師に検診させなければならない。

(措置命令)
第27条 知事は、動物が人の生命、身体若しくは財産を侵害したとき、又は侵害するおそれがあると認めるときは、当該動物の飼い主に対し、次の各号に掲げる措置を命ずることができる。
一 施設を設置し、又は改善すること。
二 動物は施設内で飼養すること。
三 動物に口輪をつけること。
四 動物を殺処分すること。
五 前各号に掲げるもののほか、必要な措置

(立入調査等)
第28条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、飼い主その他関係人から必要な報告を求め、又はその職員に施設その他動物の飼養に関係のある場所(人の住居を除く。)に立ち入り、施設の規模及び構造並びに動物の飼養状況等を調査させることができる。

2 職員は、前項の規定により立入調査を行う場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

第6章 雑則

(動物保護相談員)
第29条 知事は、この条例の施行について協力を求めるため、必要があると認めるときは、動物保護相談員を置くことができる。

(動物保護管理審議会)
第30条 動物の保護及び管理に関する重要な事項について、知事の諮問に応じて調査及び審議を行わせるため、知事の諮問機関として、東京都動物保護管理審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、20人以内の委員で組織する。
3 前項の委員は、学識経験を有する者及び関係行政機関の職員のうちから知事が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
5 前各号に規定するもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(手数料等)
第31条 次の各号の一に該当する者は、当該各号に定める額の範囲内で、規則で定める額の手数料を納付しなければならない。

一 第12条第1項又は第13条第1項の規定により許可を申請する者
許可申請手数料 一件につき 45400円

二 第18条第1項の規定により引取りを求める者
引取り手数料 一頭又は一匹につき 5500円

2 第18条第3項、第19条第1項又は第20条第1項の規定により知事が引き取り、又は収容した動物の返還を求める飼い主は、規則で定めるところにより、当該動物の飼養等に要した費用を納付しなければならない。

3 知事は、特別の理由があると認めるときは、第1項の手数料又は前項の飼養等に要した費用を減額し、又は免除することができる。

(委任)
第32条 この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(罰則)
第33条 次の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

一 第12条第1項の規定に違反して、知事の許可を受けないで特定動物を飼養した者

二 第27条の規定により命ぜられた同条第四号の措置を行わなかった者

第34条 次の各号の一に該当する者は、5万円以下の罰金に処する。

一 第13条第1項の規定に違反して、知事の許可を受けないで第12条第2項第三号、第四号又は第五号に掲げる事項を変更した(第三号にあっては、数を増加した場合に限る。)者

二 第25条第1項の規定による通報をしなかった者

三 第26条第2項の規定に違反して、犬を獣医師に検診させなかった者

四 第27条の規定により命ぜられた同条第一号、第二号又は第三号の措置を行わなかった者

第35条 次の各号の一に該当する者は、拘留又は科料に処する。

一 第9条第1項の規定に違反して、犬を飼養した者

二 第15条の規定に違反して、特定動物を施設の外へ出した者

三 第26条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

四 第28条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

(両罰規定)
第36条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑又は科料刑を科する。

附則省略


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