埼玉県動物の保護及び管理に関する条例


(平成10年3月27日条例第19号)

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、動物の保護及び管理に関し必要な事項を定めることにより、県民の動物愛護の精神の高揚を図り、動物の健康及びその安全を保持するとともに、動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(県の責務)
第3条 県は、動物の保護及び管理に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

(市町村の責務)
第4条 市町村は、その地域に応じた動物の保護及び管理に関する施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

(飼い主の責務)
第5条 飼い主は、動物の習性、生理、生態等を理解し、動物にみだりに苦痛を与えないよう飼養するとともに、動物が、人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は近隣に迷惑をかけないよう飼養しなければならない。

2 動物の所有者は、畜産その他の正当な理由がある場合を除き、動物を終生飼養するように努めるとともに、やむを得ず飼養することができなくなった場合には、自らの責任において新たな飼い主を見つけるように努めなければならない。

3 動物の所有者は、動物が繁殖してこれを自ら飼養し、又は新たな飼い主を見つけることが困難になるおそれがあると認める場合は、その繁殖を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(県民の責務)
第6条 県民は、動物の愛護に努めるとともに、県及び市町村が実施する動物の保護及び管理に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 動物の適正な飼養等

(動物の飼い主の遵守事項)
第7条 飼い主は、その飼養する動物について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(犬の飼い主の遵守事項)
第8条 犬の飼い主は、前条各号に掲げる事項のほか、その飼養する犬について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(危険な動物の飼い主の遵守事項)
第9条 危険な動物の飼い主は、第7条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

第3章 動物取扱業

(動物取扱業の届出)
第10条 動物取扱業を営もうとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をした者は、同項各号(第5号を除く。)に掲げる事項に変更があったとき、又は動物取扱業を廃止したときは、その日から起算して2週間以内にその旨を知事に届け出なければならない。

(動物取扱業の遵守事項)
第11条 動物取扱業を営む者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

第4章 危険な動物の飼養

(危険な動物の飼養許可)
第12条 危険な動物を飼養しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

2 前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。

3 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

(許可の基準)
第13条 知事は、前条第1項の許可の申請があった場合には、申請者及び作業従事者の危険な動物の飼養に関する経歴等に照らし、当該申請者が危険な動物を適正に飼養することができ、かつ、規則で定める基準に適合する施設を有すると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

(許可の要件)
第14条 第12条第1項の許可を受けた者は、同条第2項第3号から第6号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ知事の許可を受けなければならない。ただし、当該許可に係る施設においてしようする危険な動物と同一種類で、かつ、同一数以内において変更するとき、又は規則で定める軽微な変更をするときは、この限りでない。

2 前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければらない。

3 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

4 前条の規定は、第1項の許可に準用する。

5 第1項ただし書に該当する変更をしようとする者は、当該変更に係る事項をあらかじめ知事に届け出なければならない。

(施設内飼養)
第15条 第12条第1項又は前条第1項の許可を受けた者は、危険な動物を当該許可に係る施設内で外部と隔絶して飼養しなければならない。ただし、次に掲げる場合で、知事が人の生命、身体及び財産に害を加えるおそれがないと認めるときは、この限りでない。

(廃止等の届出)
第16条 第12条第1項又は第14条第1項の許可を受けた者は、危険な動物の飼養を廃止したとき、又は第12条第2項第1号若しくは第14条第2項第1号の事項に変更があったときは、速やかにその旨を知事に届け出なければならない。

(許可の取消し)
第17条 知事は、第12条第1項又は第14条第1項の許可を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。

第5章 動物の収容等

(野犬等の収容)
第18条 知事は、飼養されていない犬又は第8条第1号の規定に違反して係留等をされていない犬(以下「野犬等」という。)があると認めたときは、その職員に、これを収容させることができる。

2 前項の職員は、収容しようする野犬等がその飼い主又はその他の者の土地、建物又は船車内に入った場合において、これを収容するためやむを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において、その場所(人の住居を除く。)に立ち入ることがができる。ただし、その場所の占有者又はこれに代わるべき者が拒んだときは、この限りでない。

3 何人も、正当な理由がなく、前項の立入りを拒んではならない。

4 第2項の規定により立入りをする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人から要求があったときは、これを提示しなければならない。

(負傷した犬、ねこ等の措置)
第19条 知事は、動物の保護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)第8条第2項の規定により道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、又は負傷した犬、ねこ等を収容したときは、治療その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(収容の公示等)
第20条 知事は、第18条第1項の規定により野犬等を収容したときは、飼い主が判明しているものにあっては当該飼い主に引き取るべき旨を通知し、飼い主が判明していないものにあってはその種類、収容の日時及び場所その他必要な事項を2日間公示するものとする。

2 飼い主は、前項に規定する通知を受けた場合にあっては当該通知が到達した後1日以内に、同項の規定する公示があった場合にあっては当該公示期間満了後1日以内にその野犬等を引き取らなければならない。

3 知事は、飼い主が前項の期間内にその野犬等を引き取らないときは、これを処分することができる。ただし、飼い主からやむを得ない理由により、同項の期間内に引き取ることができない旨及び相当の期間内に引き取るべき旨の申出があったときは、その申し出た期間が経過するまでは、処分することができない。

4 第3項の規定(飼い主の判明していない野犬等に係る部分に限る。)は、知事が、法第7条第2項において準用する同条第1項の規定により犬又はねこを引き取った場合及び法弟8条第2項の規定により犬、ねこ等を収容した場合について準用する。

(犬又はねこの譲渡)
第21条 知事は、法第7条第1項の規定により引き取った犬又はねこをその飼養を希望する者で適正に飼養できると認めるものに譲渡することができる。

2 前項の規定による譲渡を求める者は、あらかじめ、その旨を知事に申し出なければならない。

(野犬等の掃とう)
第22条 知事は、野犬等がある場合において、その野犬等が人の生命、身体又は財産に害を加えることを防止するため緊急の必要があり、かつ、第18条第1項の規定による収容が著しく困難であると認めるときは、区域及び期間を定め、薬物を使用し、これを掃とうすることができる。この場合においては、当該区域及びその近傍の住民に対して、野犬等に薬物を使用して掃とうする旨を周知させなければならない。

2 前項の規定による掃とうの方法及び住民に対する周知の方法は、規則で定める。

3 知事は、第1項の規定による掃とうの実施について必要があるときは、市町村長に対し協力を求めることができる。

(人畜共通伝染病)
第23条 知事は、人畜共通伝染病の調査及び研究を行うとともに、その予防対策の普及啓発について必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第6章 緊急時の措置等

(緊急時の措置)
第24条 危険な動物の飼い主は、その飼養する危険な動物が施設から脱出したときは、直ちに関係機関へ通報するとともに、当該危険な動物の捕獲等を行い、人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止しなければならない。

2 危険な動物の飼い主は、地震、火災等の災害に際してとるべき緊急措置を定め、災害が発生したときは、直ちに危険な動物の脱出を防止すること等により、人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止しなければならない。

(事故発生時の措置)
第25条 危険な動物又は犬の飼い主は、その飼養する危険な動物又は犬が人の生命又は身体に害を加えたときは、適切な応急処置及び新たな事故の発生を防止する措置をとるとともに、その事故及びその後の措置について、直ちに知事に届け出なければならない。

2 犬の飼い主は、その飼養する犬が人をかんだときは、直ちに狂犬病の疑いの有無について当該犬を獣医師に検診させなければならない。

(措置命令)
第26条 知事は、弟8条(第4号を除く。)若しくは前条第2項の規定に違反している犬の飼い主があるとき、又は犬が人の生命、身体若しくは財産に害を加えたとき、若しくは加えるおそれがあると認めるときは、当該犬の飼い主に対し、次に掲げる措置をとるべきことを命ずることができる。

2 知事は、危険な動物の飼い主が第9条の規定に違反していると認めるとき、第12条第1項若しくは第14条第1項の許可を受けた者が第15条の規定に違反していると認めるとき、又は危険な動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加えたとき、若しくは加えるおそれがあると認めるときは、当該危険な動物の飼い主又は当該許可を受けた者に対し、次に掲げる措置をとるべきことを命ずることができる。

3 知事は、第12条第1項又は第14条第1項の規定による許可に係る施設が第13条に規定する規則で定める基準に適合していないと認めるときは、当該許可を受けた者に対し、当該施設の修理若しくは改造を命じ、当該修理若しくは改造が完了するまでの間危険な動物の他の施設への移送を命じ、又は当該施設の全部若しくは一部の使用を禁止することができる。

(立入調査等)
第27条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、飼い主から必要な報告を求め、又はその職員に、施設、施設のある土地若しくは建物その他関係のある場所に立ち入り、動物の飼養に関し、施設その他の物件を検査させ、若しくは関係人に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第7章 雑則

(動物保護推進員)
第28条 知事は、動物愛護の精神の高揚、動物の適正な飼養に関する知識の普及等の活動を行わせるため、必要があると認めるときは、動物保護推進員を置くことができる。

2 動物保護推進員は、県内に住所を有する者であって、動物の保護及び管理について知識及び経験を有するもののうちから、知事が委嘱する。

3 前2項に定めるもののほか、動物保護推進員に関し必要な事項は、知事が定める。

(手数料等)
第29条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める額の手数料を納付しなければならない。

2 法第7条第2項において準用する同条第1項の規定により引き取られた犬若しくはねこ、法第8条第2項の規定により収容された犬、ねこ等又は第18条第1項の規定により収容された野犬等の返還を受けようとする者は、規則で定めるところにより保管に要した費用及び返還に要する費用を負担しなければならない。

(委任)
第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第8章 罰則

(罰則)
第31条 次の各号の一に該当する者は、6月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

第32条 第26条第1項の規定に規定による命令に違反した者は、5万円以下の罰金に処する。

第33条 次の各号の一に該当する者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

(両罰規定)
第34条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

附 則

(施行期日)
1 この条例は、平成10年10月1日から施行する。

(埼玉県犬取締条例等の廃止)
2 次に掲げる条例は、廃止する。

(動物取扱業の特例)
3 この条例の施行の際現に動物取扱業を営んでいる者については、その者を第10条第1項に規定する者とみなして、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「あらかじめ」とあるのは、「平成10年12月31日までに」とする。

(処分等に関する経過措置)
4 この条例の施行前に廃止前の埼玉県犬取締条例又は危険な動物の飼養及び保管に関する条例の規定によりした処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によってした処分、手続その他の行為とみなす。

(罰則に関する経過措置)
5 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


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